版画や装丁を中心に活躍している宋貴美子による新作絵画による展覧会です。精密に描かれた画面には、戸惑いと不安がみえる女性が半分姿をみせている。どちらにしようかという、半分なのか、身体が半分なのか、それらを目の前にしたときなぜか自分のなかにある不安と対面しているのである。

私達はしばしば選択を迫られるときがある。
なじみのある世界を出て、もう一つの世界へ行こうと思うのに、
それを阻むものは何だろう。
不安、あるいは、希望を見出せないでいるからなのだろうか。
ちょっとしたきっかけがあれば、一歩を踏み出せるのではないか。
それは、誰かが、そっと背中を押してくれることかもしれない。
それは、何かが、そっと手招きをしてくれることかもしれない。
その誰かや何かと出会うために、私は他者を求めるのだ、とこの頃思う。